June 16, 2007
パーマカルチャー講座 第3回
パーマカルチャー講座 第3回テーマは「肥料」
今日わかったこと
?植物の体を構成する主要元素がどこから来るか
・C ←大気中のCO2から
・O ←水から
・H ←水から
?植物が栄養素を取り込むためには水と有機物が必要
土はマイナス電荷
栄養素(Mg・Ca・Kなど)はプラス電荷
→栄養素は土にくっついている。
そこへ水のH+イオンが来てCa+やK+と入れ替わることで栄養素が土から解き放たれ、植物が吸収できる状態になる。
土の中に有機物が多いと、栄養素のプラスイオンを付けたり離したりする機能が向上する。
なので有機物を増やすと栄養素を植物が吸収しやすくなる。
?N(窒素)は土の中でどのように存在するのか?
窒素は硝酸(NO3-)という形態をとる。
硝酸はマイナスイオンなので土のマイナスと反発して土から流れてしまう。
窒素を土の中に保持するためには落ち葉の中や微生物の中に持たせる必要がある。
?移動しやすい物質の代表格「窒素」
窒素は植物の体の中で移動できる。
なので、窒素不足になると下のほうの日が当たらなくなった葉から日の当たる上のほうの葉へ移動させて機能を維持しようとする。
これを転流と呼ぶ。
窒素は転流できる物質の代表格。
転流できる物質が不足すると症状は下から現れる。(下から上へ転流させてしまうから。)
下のほうの葉が黄色くなってくるのは窒素不足の典型的な症状。
?移動しにくい物質の代表格「カルシウム(Ca)」
転流しやすい窒素とは対照的に植物の中で移動できない物質の代表格がカルシウム。
転流できないので、カルシウム不足になると上のほうから症状が現れる。
症状が上のほうから出るか、下のほうから出るかで何が不足しているのかある程度推察することができる。
?あいかわらずつかみどこが難しい「カリウム(K)」
カリウムも土の中にたくさん(1.4%)あるが、安定していて出てこない。土が砕けたときに放出される。
「蒸散や浸透圧のコントロール」に深く関わっているというが、いまいちイメージがつかめない・・・。
3大栄養素の3番目だが、窒素(N)やリン(P)よりもつかみどころがない。
?有機肥料のN:P:K
生物由来の肥料。
有機肥料の成分で注目するのは3大栄養素のN:P:Kの比率。
一口に有機肥料と言ってもその成分比率は全く違うので、何を補給しなきゃいけないのかよく考えて選ばないと意味がない。(あるいは毒になることもある。)
?ぼかし・・・発酵した有機肥料
有機肥料を直接与えると急激に効きすぎるので毒にもなる。
ぼかしはあらかじめ発酵させて、「微生物が栄養素を持っている状態」にしたもの。
一発のパンチ力は落ちるが、じわじわーと利くので使いやすい。
?有機物の効果
団粒化促進(ふかふかになる)
栄養分を蓄え、交換できるようになる。
保水力向上。
微生物が増える。
?米ぬかはPがたっぷり
米ぬかにはリン(P)が多く含まれる。
米のとぎ汁も同じ。米のとぎ汁を植木鉢に与えるのはそのため。
下水に含まれるリン(P)のほとんどは各家庭の米のとぎ汁に由来する!!! (by 下水処理関係者)
・・・これは私の本業のほうで役に立つ「なるほど」です。そうだったんだ・・・! 米ぬかを与えるってことはリン(P)を与えるってことなんだ。
以上、米ぬかの話はやや余談でしたが、私にとっては今日一番のなるほどです。
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May 19, 2007
パーマカルチャー講座 第2回
パーマカルチャー講座 第2回(私は初めての参加)テーマは「土壌」
今日わかったこと
?植物の三大栄養素「窒素(N)・リン(P)・カリウム(K)」
N・・・「葉・茎」の材料。「タンパク質」の材料でもある。
P・・・「花・実」の材料
K・・・「根」の材料
?植物が窒素(N)を得る方法
窒素は大気中にはいくらでもあるが、普通の植物は空気中から窒素を得ることはできない。
一方、マメ科の植物は大気中の窒素を取り込む特殊な能力を持っている。レンゲ、クローバー、アカシヤ、ハギなど。(にっくきクズもその仲間ということでしょう。また、春先に田んぼや畑をレンゲ畑にするのはこの能力を利用して土を肥やすためなんですね。)
彼らの根には「根粒菌」という菌が共生していて、大気中の窒素を取り込むことができる。
荒地に最初に入り込むことができる植物は彼らのように大気中から窒素を取り込むことができる植物が多い。もし彼らが存在しなかったら、植物が荒地に入り込むのにはもっともっと時間がかかり、地上はこんなに緑豊かではなかったのかもしれません。
?植物がリン(P)を得る方法
リンは大気中には含まれない。でも実は、土の中にいくらでもある。ただし、そのままでは生物が吸収して利用できる状態ではないため、大気中の窒素と同じで役に立たない。そこで活躍するのが、土の中のリンを利用できるようにしてくれる「菌根菌」。
彼らは植物の根に共生していて、根の先にさらに菌糸を伸ばして地中からリンなどの養分を植物に供給する。逆に植物からは何をもらっているのかわからないが、植物と共生して生きている。(一見ただ働きをしているようにも見えるが・・・。)
?植物がカリウム(K)を得る方法
・・・今回パス・・・うーむ、気になる。
?日本の土は弱酸性
雨が多い地域は土が弱酸性になる。理由は水に溶けやすいカルシウム(Ca2+)やナトリウム(Na+)が水に溶けて流れてしまうから。(ちなみに流れ出たのが海の水の塩分)
pHは一般的には水素イオン(H-)が多ければ酸性、少なければアルカリ性であるが、Ca2+やNa+のような陽イオンで考えるとちょうどその逆で、陽イオンが多ければアルカリ性、少なければ酸性となる。雨が多い日本の土はCa2+やNa+が不足気味なので、基本的に弱酸性の土壌になる。
世界的に見ると乾燥地域を中心にアルカリ性の大地もある。
?畑に石灰(炭酸カルシウム)が必要なわけ
理由1.pHを中性にする
日本の土壌は基本的に酸性なので、石灰で中和して中性にする。
そこまでならあまり考えなくてもわかる。大事なのはその次。どうして中性じゃないといけないか? それには意外にもリン(P)が大きくかかわっている。
これを理解するにはリン(P)のpH特性を知っておく必要がある。
・低pH(酸性)ではリンはアルミにつかまってしまう。
・高pH(アルカリ性)ではリンはカルシウムにつかまってしまう。
・リンは中性付近でないと植物が吸収することができない。
ということは、弱酸性の日本の土壌ではリンはアルミにつかまってなかなか植物が吸収できない状態になっているということになる。そこで、石灰で中和することで植物がリンを利用しやすい状態にするってわけだ。
・・・今日一番の「なるほど!」でした。
ちなみにアルカリ土壌の地域では逆に酸性のもので土壌を中和するそうです。
理由2.カルシウムイオンで「団粒構造」生成を促進する
これを理解するにはまず、団粒構造ができる仕組みを理解しよう。
一般的にはミミズなどが土を食べた結果として団粒構造(樹林地などの表土に見られる粒粒)が形成される。
一方、化学的な視点で捉えると別な見方もできる。重要な役割を果たしているのは「Ca2+(カルシウムイオン)」。石灰(炭酸カルシウム)などの主成分のカルシウムはプラスの電荷を2つ持つ。一方で土を形成する物質はマイナスの電荷を帯びている。土のマイナスとカルシウムのプラスがつながり、さらにそのカルシウムのもうひとつのプラスが別の土のマイナスとつながることによって土と土がくっつき、団粒化が促進させる。
カルシウムが「2個」のプラスの電荷を持っているというところがミソ。
なので、石灰をまくことで土の団粒化が促進され、通水性、保水性の良いふかふかの土壌生成に一役買うっていうわけだ。
・・・これまた「なるほど!」です。
あとはわりと実践的な方法論として
?マルチングの効果
(マルチングとは・・・土の上にバークなどを敷き詰めること)
・雨から土を守る
これにはまず、水と土の関係を知っておいたほうがいい。土は水をかぶるといったん表面が崩れて、水が地中に浸透したあと固く絞まってしまう性質がある。
なので表土がむき出しだと雨が降るたびに地表がどんどん絞まっていき、カチコチになって生物を寄せ付けない。
マルチングで表土を覆ってやると、雨粒の直撃を防いでくれるので、雨で土が絞まるのを防いでくれる。
・土の乾燥を防ぐ
これにはまず、「毛管現象」というのを理解しておく必要がある。
毛管現象というのは水に細い管を入れると水が管の中を上がってくる現象のこと。これと同じことが土の中でも起こっている。
土の中にも細い水の通り道が無数にあり、雨が降るとそこを通って雨が地中へ浸透していくが、逆に乾燥してくるとその通り道を通って地中から水が上がってくる。もし表土がむき出しだと、地中の水がどんどん蒸発して地表だけでなく地中まで乾燥してしまう。
そこをマルチングをすることで、上がってきた水はマルチングのところで上昇が止まり、やたらと蒸発してしまうのを防ぐことができる。
しかも、これによって地表とマルチングの間は常に適度な水分が確保されている状態になり、植物が育つのにいちばんいい環境が保たれることになる。
・・・うーむ、なるほど。
あとマメ知識として
?市販されている土のマメ知識
・粒状の赤玉土、鹿沼土
人工的に団粒構造に加工したもの。ちなみに赤玉土は関東全域で見られる関東ローム層の赤っぽい土。鹿沼土は栃木県鹿沼の白っぽい土。いずれも養分の少ないニュートラルな土。
・バーミキュライト
一見、カッタータイプのオガ粉製造機で作った荒目のオガ粉とよく似ているが、実は無機物の鉱物。バーミキュライトというのはそもそも鉱物の名称で、パイ生地のような多層構造を持つ。これを焼いて膨らませたのが市販されているバームキュライト。軽くてふわふわしているが、完全な無機物。
・くんたん
もみがらの炭。成分は普通の炭と同じでほとんど炭素のみ。多孔質という点でも普通の炭と同じで特別ではないが、ちょうどいい粒径にそろっているなどの利点で需要が多い。まあ材料も余っているのでしょう。アルカリ性。
で、今回残った疑問と新たな疑問をとりあえずメモ
?もしも、マメ科のような大気中の窒素を取り込むことができる植物が存在しなかったら、地球の生物が利用できる物質やエネルギーはぜんぜん少なかったということか?
?また、マメ科の植物どころかまだ植物が地上に進出していなかった時代は生物はどうやって窒素を得ていたのか?
?水中ではリンや窒素の吸収はどうなっているのか?
?植物はどうやってカリウムを得ているのか?
?土壌に微生物が定着するにはどうすればいいのか?
(野鳥公園の常緑の外周林の土壌改善に応用できることはないか?)
21:26:20 |
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