October 25, 2011

ファイルメーカーPro再び

このところあまりにも蒲生干潟ネタが続いていたので、ちょっと違う話題を。

こないだの週末はたいして仕事もせず、かといって蒲生干潟にも行かず、久々にダメ人間モードで週末を過ごした。このところ頭が疲れ気味なのだが、疲労の主な原因は最近再び使い始めたファイルメーカーPro、と言うか、ファイルメーカーProを使って構築しているデータベースにある。

ファイルメーカーProは10年以上前にApple社から分社化したFilemaker社のデータベースソフト。前の会社に勤めていた2000年までは必要に迫られてかなり使い込んでいた。バージョンは確か2.1だったと思う。OSはMac OS 7.5とか8.1。直感的な操作を重視する旧Mac系のソフトだけあって、取説も解説本もほとんど見る必要がなかった。

それから10年以上、あまり必要性に迫られることがなかったためデータベース系のソフトからはずいぶんとご無沙汰していた。ところが最近どうしても自分でデータベースを構築するしかないことがあり、昔取った杵柄でファイルメーカーを導入することにした。

現在のファイルメーカーのバージョンはなんと11。2.1から11へバージョンアップしたことになるのだが、驚くべきは良くも悪くも基本的な使い方や操作方法がほとんど変わっていないということ。これはこのソフトが当時いかに先進的だったかということを示す一方で、その後それほど進化していないということも意味している。

とにかくも、10年のブランクにもかかわらず仕事はそれなりに順調に進んでいる。ただ、データベースを構築するというのは考えることが多くて非常に疲れる。通常Excelなどで集計したり資料を作るときの思考が縦横の平面とすると、データベース系のソフトは高さが加わった立体、あるいはその立体同士がリンクしてつながってぷかぷか浮いているような感じのものになる。なのでこれを構築するときに必要な精神エネルギーは相当なものになる。このところの頭の疲れはこの疲労が主要因であることは間違いない。

若いころはこういう作業が人よりも得意だった。このぷかぷか浮いているような全体像のイメージを作るのが得意だったのだと思う。今も人よりはできると思うが、当時のようには行かない。10年のブランクというのも確かにあるが、若いころの頭の柔軟さがあったればこそだったのかと感じている。

その一方で、今は当時よりも仕事にかかわる知識の幅が増えたことがなおさら考えることを増やしているとも思う。当時は自分の仕事がその先どうつながるのか知っている範囲が限られていたので、考えることが少なくて済んだ。今は仕事の入口から出口までほとんどを知っているので、気を配る範囲が格段に広がっている。なので、生みの苦しみというやつが以前にも増して大きくなっている。それだけに、ちゃんと完成してしまえばそれだけ当時よりも完成度の高いものができるのだと思う。

あとはなるべく頭の違う部分を使うように仕事の内容をローテーションするようにするなど、いろいろ工夫して補っている。頭も体も年齢とともに単純な機能は衰えていくのだろうけれど、そういった工夫があれば機能的にも若いころに負けるとは限らない。とりあえずそういうことにしておこう。

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October 16, 2011

水陸両用キリギリス?

このところ週末は車で移動することが多かったが、今日は若干趣向を変えて自転車で仙台港周辺&蒲生干潟へ。

最初に中央公園や夢メッセのあたりの現在の状況を見てきた。中央公園はあいかわらず立入禁止。夢メッセは瓦礫は一通りきれいに片付けてあるものの、震災後半年以上たっているにもかかわらず復旧に向けた取り組みはまったく行われていなかった。時計も地震発生時刻で止まったまま。
 

蒲生干潟へ向かう道のりの大半はいつもの通勤路だが、いつもとちがってぶらぶらと周りを見ながら転がしているといつもと違った景色が見えてくる。キリンビールの先でカマキリを見つけた。津波で水没した地域でも昆虫に関してはそこそこがんばっている感じがする。

今日は蒲生干潟の近くの陸地の葦原や草むらを散策してみた。お目当てはカエルだが、やはり今日もカエルの姿は見られなかった。震災後、海岸近くの平地ではまだ一度もカエルの姿を見ていない。
カエルの代わりに、今日は小型のキリギリスの珍しい習性?を見ることができた。なんとこのキリギリスは水中に身を隠す。このキリギリス自体はよく見るような気がするけれど、まさか水中にもぐるとは思わなかった。

水中に身を隠したところ


草の上に出てきて草に成りすまそうとしているところ


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October 10, 2011

旧淡水池北側の水路確認&蒲生干潟でカワセミ確認

今日は、昨日見つけた蒲生干潟北側と旧淡水池の間の水路が満潮時につながっていることを確認するために夕方ちょっとだけ蒲生干潟へ行ったのだが、今日は思わぬ収穫があった。

これまでそれらしき声は聞いていたが姿を確認できていなかったカワセミを震災後はじめて蒲生干潟で確認できた。

旧淡水池北端の水路
とりあえず、本来の目的の水路の確認から。


2011/10/10 16:51 潮位約120cm(満潮14:40 145cm)
満潮から2時間くらいたって潮が引き始めているけれど、確かに蒲生干潟北側と旧淡水池が水路でつながっている。ただ、おそらく震災前は水路の右側の土手で淡水池は遮られていて、淡水池はやはり淡水だったのではないかと思われる。

蒲生干潟でカワセミ確認
本来、鳥の種類にはあまり興味がない私だが、カワセミだけは別格。
カワセミの独特な声は震災後も何度か蒲生干潟近辺で聞いたことがあったが、これまではその姿を確かめることができていなかった。その独特な声からして聴き間違えることはないと思ってはいたが、姿が見えないのでなかなか確信を持てないでいた。今日やっとその姿を見ることができた。しかし距離があまりにも遠く、日も落ちかけていたので写真はごらんのありさまだが、一応カワセミであることは確認できる。声は複数聞こえていたので、少なくとも2羽はこの辺にいる(あるいは訪れる)のだと思う。確かにカワセミのえさになる小魚は今でもたくさんいる。



 
カワセミのお腹側(左) カワセミの背中側(右)

このところあまり前向きな情報が得られなかっただけに、カワセミがいるということは蒲生干潟にとって久しぶりに明るいニュースのように思います。

また、日暮れ時に蒲生干潟に来たのは震災後初めてでしたが、夕暮れ時になるとアオサギやカルガモが蒲生干潟や養殖池にもどってきて、鳥たちの寝床として今でもそこそこ機能しているんだということがわかりました。

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October 09, 2011

新・七北田川河口&蒲生干潟北半分調査

今週は先週よりもさらに潮位が下がった状態で七北田川の新しい河口と蒲生干潟の北半分の観察をしてきた。

蒲生干潟全景
とりあえず、いつものように蒲生干潟全景と七北田川の本来の河口付近の様子を記録。


2011/10/9 9:14 潮位約70cm(干潮7:53 61cm)


旧・七北田川河口部

2011/10/9 9:26 潮位約70cm(干潮7:53 61cm)
干潮時刻から既に1時間半ほど経過しているが、水はまだ七北田川から海側へ流れている。


2011/10/9 10:46 潮位約90cm(干潮7:53 61cm)
観察を終えて帰る前にもう一度状態を確認。この時点では海の水位のほうが高くなり、七北田川へ遡上し始めていた。


蒲生干潟北半分につながる水路(七北田川の新しい河口手前)

2011/10/9 9:37 潮位約75cm(干潮7:53 61cm)
潮位75cmでは水路の水位は20cmほどあり、長靴であればなんとか渡れる程度。

 
水路で砂がえぐられた箇所に、大量の貝殻が積もっている。
なぜここだけこんなに大量にあるのか、あるいはこのあたりの砂を掘れば一面こうなっているのかどうかは不明。


七北田川の新しい河口&蒲生海岸
実際に回った順番とは異なるが、水路の先、七北田川の新しい河口と蒲生海岸の様子を報告。私としては蒲生海岸の海そのものまでやって来たのは震災後初めてになる。河口のこの感じは、震災前の七北田川河口の景色そのものだった。


2011/10/9 10:28 潮位約90cm(干潮7:53 61cm)

七北田川河口対岸側
 
河口の対岸側は人が近づけないため、ウミネコなどの休息場所になっている。
また、ウミネコの向こうにはサーフィンを楽しむ若者の姿があった。

蒲生海岸


 
海岸にはまだ瓦礫が散乱している箇所がたくさんあるけれど、河口付近に関しては台風のときにすべて流されてしまったようでとてもきれいな砂浜が広がっている。貝殻が多いのが目に付くけれど、外海から流れ着いたと思われるものも多く、蒲生干潟や七北田川汽水域の貝が大量に死滅したことを知りつつこう言うのは不謹慎だが、「きれい」と感じた。


蒲生干潟北半分
蒲生干潟北半分は台風15号被害後も堰湖干潟のような形状が維持されていて、そこそこ干潟らしい姿が期待できるのではないかと思っていたが、今回の観察ではやや期待を裏切られる結果だった。


2011/10/9 9:44 潮位約75cm(干潮7:53 61cm)

 

 
先週、旧淡水池につながる水路周辺にかなり泥が堆積しているのを見ているので、こちらにも新たに泥が堆積しているものと期待していたが、本来の蒲生干潟北側のエリアには新たな泥の堆積が少ない。そのため非常に砂っぽく地面は固い。ゴカイの穴も多少見られるが、生息密度は低い。水質はかなり海水に寄っているのか、モズクのような海草が見られた。

旧淡水池の裏側


 
震災前は葦原が茂り、蒲生干潟の中でもっとも豊かだったと思われる場所だが、堆積していた泥は葦もろとも根こそぎ流されて、泥の塊の残骸が転がっている。葦の痕跡を見ることはできるが、完全に死滅している。葦が死滅すると硫化臭がするのが一般的と思っていたのだが、そういう感じもしない。

さらに北側へ
 

 

 
さらに北側へ足を伸ばしても状況はほとんど変わらない。地面が緑色になっている箇所があって、拡大してみるとやはり海草のようだ。このあたりで見られた生き物は水溜りを泳いでいるボラの稚魚と手負いのアシハラガニ一匹のみ。

体育館下の葦原
 
体育館のすぐ下、要するに陸地のすぐ近くには今でも葦原が茂っている。葦原のあるところにはやはりアシハラガニが大量に住み着いて、アシハラガニパラダイスになっていた。

旧淡水池につながる水路
 
旧淡水池へ抜けるために草むらを掻き分けていくと、蒲生干潟北側から旧淡水池に向けて一直線につながる水路があることを発見した。水路と言っても干潮時には干上がってしまうのだが、様子からして満潮時には水没して蒲生干潟北側と旧淡水池がつながるのだと思う。この水路が震災前からあったとすると旧淡水池と呼んでいるところは淡水ではなく海水ということになるが、今のところわからない。

旧淡水池の中にできた干潟
旧淡水池北端
旧淡水池は堤防が決壊して蒲生干潟とつながったため、潮位の変動により干潟が発生する。ちなみに黒いフレコンバックは決壊した防潮堤の応急処置で、防潮堤の向こう側は養殖池。震災直後はここで海と養殖池がつながっていた。

旧淡水池の干潟の生物活動痕


 
ゴカイの穴とカニの巣穴の跡(左) コメツキガニの巣穴&砂団子

 
アシハラガニの巣穴(左) アシハラガニ(右)
やはりここでも一番生息密度が高いのがアシハラガニ。コメツキガニと先週見たチゴガニはこのあたりではまだ少数派。


旧淡水池と蒲生干潟をつなぐ水路

2011/10/9 10:15 潮位約85cm


養殖池のボラっ子
最後に、2週間前に来たときに大きな黒っぽい魚が泳いでいるのを見た養殖池。一つ前の写真の水門は、旧淡水池と養殖池を結んでいる。養殖池側の水門は津波で吹っ飛んでいる。旧淡水池側の水門は閉じているのだが、隙間から海水が出入りしているのかもしれない。



 
今日見られたのは水面を泳ぎまわる小さなボラの子供たちのみ。水をなめてみたが、淡水9:海水1くらいの味。


22:27:00 | blueskyland | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks

October 02, 2011

蒲生干潟&七北田川河口の震災後の変化

6月や7月の観察では、蒲生干潟は着実に回復への歩みを重ねていた。それがどうしてこんなことになってしまったのか。撮っていた写真を整理して振り返ってみた。

蒲生干潟全景

震災以前の蒲生干潟
蒲生干潟は2007年ごろから不定期に観察してきたが、蒲生干潟全体のパノラマ写真は2007年までさかのぼらなければ見つけることができなかった。2007年にはまだ防潮堤の工事が始まる以前で、津波に襲われたときの状態とは地形がやや異なる。しかし改めて見てみると震災直前に比べて手前側の葦原がとても豊富なのに驚かされる。防潮堤の建設が葦原に悪影響を与えていたのではないかと感じてしまう。

2007/9/24 12:34 潮位不明(日和山から撮影)

震災後の蒲生干潟
震災後1ヶ月ちょい
2011/4/17 12:18 潮位約70cm(干潮8:15 15cm)

震災後2ヶ月ちょい

2011/5/22 12:14 潮位約20cm(干潮12:50 16cm)

震災後3ヶ月ちょい

2011/6/19 11:30 潮位約15cm(干潮11:51 15cm)

震災後4ヶ月ちょい

2011/7/17 12:35 潮位約35cm(干潮10:57 20cm)

震災後5ヶ月半

2011/8/28 17:22 潮位約130cm(干潮15:50 147cm、干潮21:19 83cm)

台風15号被害後の蒲生干潟

2011/9/25 13:40 潮位約135cm(干潮7:58 40cm、満潮14:36 141cm)


2011/10/1 12:42 潮位約100cm(干潮11:24 92cm)

こうして見ると、蒲生干潟と海を隔てる砂州は南側(画面右側)ほど成長が早く、北側(画面左側)の七北田川の新しい河口ができた箇所の砂州は7月の時点でもさほど成長していない。砂洲が決壊しそうな箇所としてはウィークポイントだったようだ。

逆に考えると、現在の七北田川河口は比較的砂がたまりにくい場所ということになるので、ここが再び河口閉塞を起こすリスクはやや低いのではないかと思われる。また、元々の河口は一番砂が堆積しやすい場所ということになるので、本来の河口が自然に復活することはまずありえないし、人工的に掘ったとしても河口閉塞のリスクは非常に高いと思われる。


七北田川河口付近

震災前の七北田川河口
震災前の七北田川河口は、やはり砂が堆積して閉塞気味だった。蒲生干潟と七北田川の接続部は河口のすぐ近くにあり、石積みと水門で仕切られていて干潮時は水門だけから潮が出入りし、満潮時には石積みごと水没していた。干潮時にはこの石積みを渡って沖のほうに出ることができた。


七北田川河口 2008/6/15 17:07 潮位不明
対岸から伸びてきた砂洲が目の前まで迫り、川幅が狭くなって閉塞気味になっている

 
七北田川と蒲生干潟の間の石積み 2007/5/20 16:35(左)とモアイみたいに朽ちた杭 2007/5/20 15:23(右)


震災後の七北田川河口
震災後1ヶ月ちょい

2011/4/17 11:59 潮位約68cm(干潮8:59 15cm)
遠目ではあるが、河口の砂が津波で一掃されてなくなっているのがわかる

震災後3ヶ月ちょい

2011/6/19 11:56 潮位約15cm(干潮11:51 15cm)
対岸から砂洲が成長してきているのが見える

震災後4ヶ月ちょい

2011/7/17 13:51 潮位約70cm(干潮10:57 20cm)
対岸の砂洲がかなり大きくなり、川幅を圧迫しているのがわかる

震災後5ヶ月半

2011/8/28 17:22 潮位約130cm(干潮15:50 147cm、干潮21:19 83cm)
遠目ではあるが、改めて見てみるとこの時点で既に河口は完全に閉塞している。
このころから七北田川河口および蒲生干潟には海水が供給されなくなっていたことになる。

台風15号被害後の七北田川河口

2011/10/1 12:46 潮位約100cm(干潮11:24 92cm)

こうやって改めて写真で見ると、七北田川河口には時間の経過とともに着々と砂が堆積してきていたのがわかる。
しかし砂の堆積は蒲生干潟が堰湖干潟の形状を取り戻すために喜ばしいこととして捉えていて、まさかこんなことになってしまうとは夢にも思わなかった。

これほどまでの急激な変化には改めて驚かされる。

14:16:07 | blueskyland | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks