July 29, 2001

富士山(富士宮口新五合目〜富士山山頂) 2001年7月28日〜29日

目的地富士山(富士宮口新五合目〜富士山山頂)
日 時2001年7月28日(土)〜29日(日)
天 気快晴(平地はくもり時々雨、富士山は雲の上!)
メンバー5人
アプローチ車利用 川崎→東名川崎IC→(東名高速)→御殿場IC→富士宮口新五合目 片道約3時間
コース富士宮口新五合目(23:15)→(富士宮口登山道)→浅間大社奥宮(5:00)→剣が峰 富士測候所(6:30)→お鉢めぐり→浅間大社奥宮(8:00)→(御殿場口下山道)→宝永火口(9:30)→富士宮口新五合目(10:20)
コースタイム約8時間(休憩時間のぞく)
参考図書山と高原地図31 富士・富士五湖(昭文社)、フルカラー特選ガイド14富士山とその周辺を歩く(山と渓谷社)

 元箱根からやっとのことで富士山五合目までたどり着いてから一週間、スタミナを十分に回復させていよいよ富士登山の日が来た。今回のメンバーは箱根めざして歩いてきた3人と日系ブラジル人ご夫婦の合計5人。2台の車に分乗して乗り込む。
 しかしながら、出発の28日はなんと全員出勤、しかもわりと仕事が手こずって19:00前までみっちり動き回って、その足で20:00過ぎに出発した。高速に乗る前にコンビニで晩ご飯と行動食とビール!?を買って高速で御殿場をめざす。時間節約のために夕食は車で済ませてしまおうという作戦だ。これまでに高速で運転しながら食べたサンドイッチの数は数知れないのだが、しかし交通量の多い東名高速で食べながら走るのはけっこう大変だった。
 天気予報はまたしても「くもり時々晴れ、山沿いでにわか雨か雷雨」で行ってみないとわからない予報である。川崎を出た頃は晴れないまでも雨が降る気配はなかったのだが、御殿場ICが近づいて来るにつれて天気はあやしくなり、ICを降りたあたりから小雨がぱらつくようになってきた。これはちょっとマズイかもと思いながらも富士宮口新五合目をめざしていると、自衛隊と米軍施設の間の広い道を抜けて両側が自衛隊演習場のグニャグニャ道に入ったあたりで深い霧の中に入ってしまった。霧と言うよりほとんど雲の中だ。視界が10mくらいしかなく、道がどっちに曲がっているのかすらわからない。それに加えて左には深い側溝があるのを知っているからなおさら走りづらい。やがて雨も本格的に降り始めて視界はさらに悪くなった。フォグライトを装備していないボクの車ではひたすらセンターラインを頼りに走るしかない。時速20km以下の超スロー走行でとにかく進み続けて、対向車とすれ違うときはほとんど止まってやり過ごして徐々に標高を上げていった。
 雨の中の登山を覚悟しつつも、「麓は雨でも上の方は雲の上ならいいのになぁ」というかすかな期待も持ち続けていた。どこまで行っても霧の中かとあきらめかけた頃、不意に雲の切れ間から月が見えた。ずっと霧の中だったのに、ときどき霧がなくなって視界が開けるようになってきた。雲の切れ間からはきれいな星も見える。雲の上に出たのだ。五合目に到着した頃には満天の星空に変わっていた。月に照らされた雲海が足下に広がっている。奇跡的な大逆転だった。

 これで気分は乗りまくり。満天の星空のもと、深夜23:15に上機嫌で新五合目をスタートした。しかし車で一気に標高2400mまで上がってくるとさすがに息が苦しい。こないだは徐々に標高を上げてきたのであまり息苦しさは感じなかったけど、今回は空気が薄いのがよくわかる。この空気の薄さが富士山の一番の難しさなのだ。今回ばかりはサイボーグなみに体力の持ち主のJ副主任も空気の薄さに驚いているようだ。
 とにかく高山予防のためにペースは極力ゆっくりめを心がけた。一応のコースタイムは4時間40分で、コースタイムプラス30分くらいのペースなら十分にご来光に間に合うはずだ。ボク自身の立ち上がりは上々で、はじめはずっとしゃべりながら周りを気づかうだけの余裕があった。なにせ星空がきれい。満天の星空の富士登山というのはけっこういいものである。ツアーバスで来た去年と違って自由でいい。
 新7合目あたりまでは5人ともそこそこ調子が良かった。と言うよりは今回唯一の女性メンバー以外はボクよりよっぽど体力的に余裕があるようだ。しかし、このあたりでボクはやや息苦しさを感じ始めていた。意識もちょっとぼんやりする。明らかに高山病の兆候だ。だんだん周りを気づかう余裕がなくなり、周りにペースを合わせることができなくなってきてひとまず自分のペースで7合目まで一足先に進んでからしばらく横になって休んだ。ちょっとヤバイかも知れない。
 こういうときはどうしたらいいんだろう? はじめから腹式呼吸は心がけているし、ペースは落とせるだけ落としてもやっぱり苦しいし・・・。息苦しいんだったら思いっきりゼーゼーハーハー息してみるか・・・。結局これが良かったようで、一生懸命息をすれば意識もはっきりしてきた。はたから見ると息が上がって苦しそうに見えるけど、ゆっくり深呼吸するよりも早く深く呼吸する方が明らかに楽になった。
 この先の7合目の手前で女性がダウンし、だんなさんも一緒に残ったのでこの先はいつもの3人だけになった。一番調子がいいのはN先輩。J副主任は空気の薄さに苦戦して今一つ調子が上がらないようだ。それでも強い精神力で進み続けるところがさすが! ボクのほうは呼吸法を変えてからは完全に調子を取り戻し、絶好調のN先輩に何とかついていった。このペースで行けばご来光は楽勝と思われた。
 河口湖側の富士吉田口に比べると団体客がいない分ややすいているいうものの、頂上が近づいて来るにつれてだんだん人が多くなってきた。9合目を過ぎて、九合五尺の山小屋の手前あたりからいよいよ大渋滞になってしまった。こうなると時間ばかりが過ぎていく。空の星がだんだん見えなくなり、東の空がだんだん白み始めてきた。「そろそろシャッターチャンスの時間帯なんだけどなぁ」と思うのだけどなかなか渋滞は進まない。前回同様せっかくの日の出を見そびれてしまうのかと半ばあきらめかけていたけど、ゆっくりゆっくり進み続けて4:55という実にきわどいタイミングでついに頂上の浅間大社奥宮に到着した。

 もう日の出は終わってしまったのだろうか? わからないけれどとりあえず小高い丘の上に出てみると、まさに日の出をむかえるところだった。大急ぎでカメラを出して杖がわりの一脚に取り付けて撮りまくる。今日の機材は上司にもらったあのくそ重たいNikon F2に50mmF1.4という職場メンバーということを意識した装備だ。重たいのにここまで持ってきたのだからここで使わなくちゃ! あとデジカメも出して何枚か取ってみたが、寒すぎるせいかちゃんと動かない。そんなことはお構いなしに何食わぬ顔で動いてくれるF2はさすがというところか。デジカメではあまりきれいに映ってないけどF2のほうはけっこうきれいに撮れたのでそちらは写真集のほうに載せる予定なのでよろしく。
 そうこうしているうちに、J副主任も到着してちょっと休憩。勢いで写真を撮っているうちはまだ良かったのだけど、動きを止めてしまうととにかく寒い。頂上は風が吹き抜けてくるので登山道とは寒さが違う。ありったけの防寒着を着てもまだ寒い。とにかく動かないことには凍えてしまいそうなのでとりあえず剣が峰の旧測候所へ行く。ここが本当の3776mの山頂で、ここまで来るのはボクも初めてなのだ。測候所の建物を利用した展望台からは南アルプス方面を見渡すことができる。そして足下には何と、一面の雲海の上に富士山の影が映っている。なんて言うんだったっけ? とにかくなかなか見られない景色だ。それから測候所は大沢崩れの真上になり、崩れていっている様子がよくわかる。

 
測候所のドーム(左)と雲海に映った富士山の影(右)

 このあとはお鉢巡りで頂上の噴火口を一周する。噴火口もけっこう迫力があり、見る向きによっていろんな表情を見せてくれた。そして噴火口にザイルで降りて行っている人が・・・。何やってるんだろう? とにかく再び浅間大社奥宮に戻ってきた。
 途中でリタイヤした2人はどうしているだろうか? はぐれた場合は11:00に車に集合ということになっているのだけど、すでに8時を回っている。3時間あれば下山できると思うのだけど、多少急いだ方がいい。下山には途中まで御殿場口のルートを利用する。登りと同じじゃつまらないということと、大勢の登山者とすれ違わないといけない富士宮口を避けてのことだ。とりあえず7合目まで一気に下る。登山者が少ないのでペースはものすごく速く、30分くらいで7合目に着いてしまった。ここからは登山道と下山道が分かれ、下山道は大砂走りになる。これがまたおもしろい。広くなだらかな下り坂を本当に走って降りていく。だけど砂の中に大きい石が埋まっているので、足を取られて転んだら石で頭を打つかも知れないので気を付けた方がいい。御殿場口の場合はこの大砂走りで標高差1000mくらい降りるのだから楽しいのか大変なのか・・・。今回の我々は富士宮口に戻らないといけないので、大砂走りで200mくらい高度を下げたところで宝永山方面の分岐にはいる。
 
大砂走りを駆け下りるN先輩(左)と宝永山を指さすJ副主任(右)

 宝永火口もけっこうでかい。こないだの宝永第2火口とはサイズが違う。宝永火口と宝永第2火口の間の広場で休憩し、最後はこないだのきれいな森の道を利用して新五合目にもどった。とてもきれいな小さなユリがたくさん咲いている。しかし、こないだはあまり気付かなかったけど酸性雨の影響なのか枯れている針葉樹林がたくさんあるのが見えた。車に着いたのは10:20、下山に要した時間は休憩時間も含めて実に2時間少々という驚異的な速さだった。


 これで遂に東京日本橋から富士山山頂まで全て徒歩で制覇! 帰りは御殿場市の温泉会館で汗を流してから帰った。ちなみに富士山の上は快晴でも麓は雲の下でどんよりどよどよの日曜日だったようだ。上から見ればこの薄暗い雲がきれいな雲海に見えるのだから不思議なものだ。


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July 22, 2001

皇居のお堀はスッポンがいっぱい!

 今日は街の写真を撮りに行った。使う機材はZ-1Pに28mm単焦点と70〜210mmズーム。主に学生時代得意だった28mm単焦点レンズで街の風景、特に街の中の緑を切り抜こうというのが今日のテーマ。まずは近場で川崎大師に寄ってから、東京へ足をのばした。有楽町から皇居の周りを回って日本武道館の前を抜け、靖国神社の横を通って市ヶ谷まで歩いた。今日の大発見は、皇居のお堀には何と! ミドリガメだけでなくでっかいスッポンがたくさんいるということだ。しかもエサをもらいに来る。こんなスッポン見たことないぞ。



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July 20, 2001

Approach to 富士山 2001年7月19日〜20日

目的地元箱根〜富士宮口新五合目(神奈川県箱根町〜静岡県富士宮市)
日 時2001年7月19日(木)〜20日(金)
天 気18日-くもり時々晴れ、夕方一時雨 19日-快晴
アプローチ川崎大師駅→JR川崎駅→JR小田原駅→(バス)→元箱根 片道約2時間30分
コース元箱根→(芦ノ湖西岸)→長尾峠→御殿場→御殿場口登山口(仮眠)→幕岩→宝永第二火口→富士宮口新五合目
 実歩行距離=?? 40kmくらい?
コースタイム約24時間(御殿場市内の休憩時間と仮眠時間はのぞく)
参考図書ウォーキングマップル 神奈川県、山と高原地図31 富士・富士五湖(昭文社)

 こないだ三浦半島方面にシーバスを釣りに行って、その帰りに荒崎から見えた富士山はとても小さかった。ものすごく遠く感じられた。あそこまで全部歩いたらけっこうすごいことだろうなと思う。だけどそれが不可能ではないところまで来ているのだ。
 今年はこれまでに東京から箱根まで5回に分けて歩いた。今月末には富士山に登る予定になっている。その前に箱根から富士山の新五合目まで歩いておけば、晴れて東京から富士山山頂まで全て歩いたことになる。
 今月も土曜日の出勤が多かったおかげで月末までに週休を使わないといけないので簡単に連休を作ることができた。もっともそのかわりに世間は連休まっただ中の21日にはまた仕事なんだけど。

 今回はかなりハードな道のりになることは想像がついた。1日ではとても無理なのでどこかで野宿することになりそうだ。装備もそれなりに多くなるので久々にザックに荷物を詰め込んだ。テントなんかを装備するとかなりの重装備になってしまうので、野宿用品はマットとシュラフカバーのみで、火器類もなしにして最軽量装備を心がけた。写真装備も杖がわりにもなる一脚とZ-1P+18〜35mmワイドズームとデジカメという軽量装備にした。


芦ノ湖湖岸〜長尾峠
 小田原駅からバスに乗って元箱根には8:30ごろ到着した。まずは旧箱根関所跡(写真右)を抜け、芦ノ湖西岸の遊歩道で芦ノ湖の北側をめざす。標高700mくらいあるせいか、すっかり梅雨明けしてしまったにもかかわらずまだアジサイがきれいに咲いていた。民家の庭先にもいろんな花が咲いていて、大きな蝶が蜜を吸いに来ていた。

 

 コースははじめのうちはアスファルト舗装してあったが、遊歩道に入って一般車通行禁止になったあとは舗装がなくなり、やがて歩行者専用路になった。周りからは蝉時雨が聞こえて、雰囲気はいいのだけどとにかく遠い。なにせ芦ノ湖のでこぼこの湖岸に沿って続いているので直線距離の2倍くらいありそうだ。芦ノ湖の大きさを実感する遊歩道だ。けっきょく、この遊歩道を抜けて芦ノ湖の北岸に着くのに3時間以上かかってしまった。

 
芦ノ湖西岸の遊歩道(けっこう雰囲気はよい)

 芦ノ湖キャンプ場でひと休憩したあとは仙石原方面へ抜けるサイクリングロードを経由して長尾峠をめざす。この道も延々と距離がある。長尾峠への分岐まではダラダラの舗装路が続き、分岐から長尾峠までは一気の登りになる。長尾峠に着いたときには汗だくになってしまった。途中でセミとかトンボとかがいて写真を撮りながら来たのでまだよかった。長尾峠には小さな茶店があり、見晴らしがとてもいい。ここで休憩をとって山菜うどんを食べた。

 
トンボ(左)と長尾峠から見た芦ノ湖(右)

長尾峠〜御殿場
 ここからはしばらく御殿場方面へ車道を歩く。地図で見ると「乙女下」というバス停のところから一気にショートカットできる点線の道があるのでこれを利用するつもりだ。しばらく見通しが悪い杉林が続いたが、これを抜けると急に視界が開けて御殿場の町が一望できる場所に着いた。しかし雲が多くて正面に見えるはずの富士山は輪郭すら見えない。ただ、富士のすそ野が大きく広がっているのはよくわかる。


乙女下から御殿場市内を望む

 たぶんここが「乙女下」だと思うのだけど、分岐の標識どころかバス停も見あたらない。しかしここで間違いないと思うのでよくよく探してみるとそれらしき獣道のような道があり、下っていくとやや広い道に出た。しかし周りから木や草が生い茂り、明らかに廃道という雰囲気だ。しかしなぜか路面は舗装されている。しばらくはなんとか進めたのでそのまま下っていったが、やがて草木で完全に道が遮られてしまい、しかたなく引き返してまた車道を歩くことになってしまった。
 このままではかなり大回りさせられてしまうので次のショートカットの分岐は見落とせない。次の分岐もきちんとした標識はなく、危うく一度通過してしまったもののすぐに気付いて、御殿場市内に向けて一気にショートカットすることができた。この道はまだ登山者が利用しているようで、それなりに整備してあって安心して歩くことができた。ショートカットの山道から一般道に出ると御殿場市内はすぐそこで、やっと東名御殿場インターに到着した。
 御殿場インターのバス待合室で休憩して、置いてあるいろいろなガイドを一通り見てこれからの予定を考えた。どうも空模様が今一つなので177に電話してみると、「静岡県東部、今夜の天気はくもり時々晴れ、所によりにわか雨、山間部は一時的に雷を伴い強く降るでしょう」。なんかこないだも同じようなのを聞いたような・・・。あれも静岡県だったな。ただ、降水確率は時間とともに下がっていき、明日は晴れるような感じだ。結局、御殿場市内で夕食を食べてからとにかく御殿場口登山口まで歩くことにした。
 インターを出て御殿場駅をめざしていると、予報通り雨が降ってきた。でも傘を持ってきているので大丈夫。空を見上げると雲が激しく流れ、夕立の雰囲気だ。しかし空の半分くらいは青空がのぞいている。御殿場駅が近づいてきたところで、雲の切れ間からまぶしい光が射した。見るとさっきまで雲がかかっていて見えなかった富士山の周りの雲がだいぶ晴れて、富士山の輪郭がだいぶ見えてきている。そしてその背後から夕日が射して富士山に後光がかかっているようだ。ここまで来ると富士山は大きい! 駅の手前からはよく見えないので御殿場の駅の西側に出て写真を撮った。そのあとは富士登山の神社、新浅間神社にお参りして、駅前の食堂で親子丼を食べた。

 
御殿場駅前から見た富士山(左)と新浅間神社(右)

御殿場〜御殿場口5合目
 そうこうしている間に雨はザザ降りになったが、御殿場駅で時間をつぶしているうちに次第に雨は上がり、富士山にかかっていた雲もほとんどなくなってきた。もう完全に日は落ちて、夜の街になった御殿場のささやかな繁華街のむこうに雄大な富士山のシルエットがそびえ立っている。よく見ると山小屋の明かりらしき光がポツリポツリと見える。そろそろ雨も大丈夫なようなので、駅を出てふと空を見上げるとさっきまで激しい雨を降らしていた雲の最後の部分が空高くあって、地上よりも少しだけ強く太陽の光を受けてぼんやりと浮かび上がっていた。これでいよいよ富士山に向けて出発だ。

 

 歩き始めると、すでにかなり足に疲労がたまっている。しかし間近に富士山を見るとやっぱりもし調子が良かったらこのまま登ってやろうかという気になる。いずれにしても御殿場口についてから決めることなので、とにかくマイペースで御殿場口をめざす。出発してから当分は普通の道だが、緩やかだけどずっと上り坂が続く。明日のために途中のコンビニで飲み物と食べ物を補給し、2つ目のコンビニを過ぎると右は自衛隊の基地、左は米軍施設のとても広い道になり、民家はなくなる。ここまでもずっと緩やかな登りだったがだいぶ傾斜がきつくなってきているのがわかる。この広い道が終わると道はやや曲がりくねりだし、街灯ひとつない真っ暗な道になる。道の両側は自衛隊の演習場になっているけど、道のすぐ脇は全て林で、中は見えないようになっている。空を見上げると星がいっぱい。進むにつれて天の川が鮮明になってくる。
 何度か休憩して、御殿場口への分岐に着いたときはすでにヘトヘトだった。これではとても山頂まで一気に行くのは不可能だ。とにかく御殿場口まで行って仮眠を取り、当初の予定通り富士宮口五合目まで歩くことにした。歩いているうちは暑くて汗をかくくらいだけど、止まると急に寒くなってこごえそうだった。ここから御殿場口まではあと少しなので体を温めるようにハイペースで歩ききって、なんとかその日のうちに標高1400mの御殿場口五合目に到着した。五合目と言っても実際には旧二合目にすぎないのだけど、このあたりは森林境界線が極端に低くて標高1400mから木が全く生えておらず、いかにも富士山という景色が広がっている。しかし富士宮口や富士吉田口の五合目のにぎわいからは想像できないくらいさみしい五合目だ。とにかく駐車場の隅の見晴らしの良いところでザックをおろし、長袖に着替えて防寒着がわりのレインコートも着てシュラフカバーにくるまった。しかし足が寒い。最後はザックの中身を出してザックに足をつっこんで寒さをしのいだ。


御殿場口五合目から御殿場市内を望む

御殿場口五合目〜御殿庭入口
 朝3時すぎ、夜明けにはまだ早いけど寒くて仕方がないので起きだした。とりあえず夜明けまでに双子山をめざす。
 とにかく歩き出さないと凍えそうなので荷物をザックに詰め込んですぐに出発した。マグライトの明かりを頼りに歩いていくと、どう見てもこれは富士山そのものの登山道だ。双子山ハイキングコースはもっと左の方のはずだけど・・・と思いながらも歩いていくと、すぐに一つ目の山小屋に着いてしまった。地図ではここから双子山方面への分岐があるようなのだけど見つからないのでしかたなく御殿場口まで引き返した。
 今度は地図を見て双子山ハイキングコースの入り口を見つけ、再び出発した。岩ゴロゴロの見晴らしのいい道をイメージしていたのにずいぶんと森の中の道で、なんかおかしいなと思いながらも進んでいくとどんどん森の中になっていく。ただ道ははっきりしていて迷うことはない。30分くらい歩いたところでそろそろ明るくなってきた。明かにに道を間違えたと思って地図で確認してみると、双子山の下側のハイキングコースに入り込んでしまっていることがわかった。それでも最終的には合流するので、このまま行くことにした。ただ、こっちは森の中なのでせっかくの日の出を見そびれることになってしまった。
 明るくなってきて森の様子がよくわかるようになってきた。土が肥沃でないせいか、普通の山の森とは全く違う感じの森だ。と、ちょっと上の方でガサガサと物音がしたと思ったら、大きな角の鹿が跳ねていった。でかかった。逃げていってくれたから良かったけれど、逆に向かってこられたらとてもかなわないと思った。富士山の自然の豊かさを実感する瞬間だ。
 しばらく行くと幕岩に到着した。黒っぽい溶岩が固まってできた大きな岩だ。そこから30分くらい登っていくと幕岩上で、もともと予定していた双子山ハイキングコースとの合流点になる。双子山までは戻らないにしても、見晴らしがいいのでちょっとだけ双子山方面へ行ってみることにした。すると岩の下のほうで物音がして小さな動物らしき物陰が・・・、もしかしておこじょ? と思ったけど姿は見えなかった。この辺から見る富士山はとてもきれいで、高山植物も多くてボク好みの気持ちのいい丘だ。昨日と打って変わって天気も最高で、程良く暖かく気分は上々。ここで写真を撮り、のんびりと休憩した。

 

 この先は御殿庭をへて宝永火口をめざす。植物が独特なので観察しながら歩いていると、ひとつのことに気がついた。赤い溶岩には木はほとんど生えておらず、ほんの数種類の植物だけがかろうじて生きている。植物が豊富なエリアの岩は必ず黒っぽい溶岩だ。黒っぽい溶岩の所には低木の松がはえていて、それらが長い年月を経て表土をつくり、ある程度の土ができたところに広葉樹やある程度背が高い針葉樹が生えるようになるようだ。それにしてもこの辺の森は美しい。表土が薄いせいか、広葉樹の倒木が多いのだけど倒れてからもちゃんと生きている木が多い。厳しい自然条件の中で精一杯生きているという感じだ。
 

 これまで富士山といえば溶岩ゴロゴロの不毛の山というイメージが強かったけど、森の中を歩いてみて緑豊かな生命あふれる富士山という新しいイメージができた。

御殿庭入口〜富士宮口新五合目
 御殿庭入口まではまだ緩やかな登りだったが、ここから先はそれなりに登りになる。もっとも足が疲労していなかったらどうという登りではないのだろうけど、かなり疲労が蓄積しているボクの足ではこの登りはちょっとしんどい。森の中の道を抜け、御殿庭上から先は視界が開けて宝永火口が見えるのだけどいっこうに近づかない。ゆっくりゆっくり歩き続けて、やっと宝永第2火口に到着した。ここでひと休憩、いや一寝入りしてしまった。本当にとても気持ちがいい。しかしここで不思議な現象を発見。なぜかPHSの電波が立っている。いったいどこにアンテナが? これはやはり火口がパラボラアンテナがわりになってくれているに違いない!(ウソ)。
 ここまでくれば富士宮口五合目はすぐだ。ちょっと行ったところの分岐点で今日はじめて人に会った。ここまでの道のりで一人の人にも会わなかったのはけっこうすごいんじゃない? 富士山に登る人は多いけど富士山の麓を歩く人は少ないようだ。
 この先も美しい森の中の道が続く。広葉樹と針葉樹の混合林で、きれいな花も咲いている。富士宮口新五合目からすぐなのに歩く人がこんなに少ないのはもったいない。この森を抜けると、ついに富士宮口新五合目に到着した。ここまで来ると富士登山の人と車でごった返している。

 
富士宮口新五合目

 御殿場行きのバスはないので三島行きのバスの時間を調べるとまだまだ1時間くらいある。バスのドアが開いてすぐに乗り込み、一寝入り。出発したなと思って車内を見渡したけど誰もいない。乗客はボクだけ? また眠って、途中で日本ランドのバス停に止まったけどまた乗客はない。結局富士宮口新五合目から三島まで乗客はボク一人だけだったようだ。これじゃ大赤字じゃないの? とにかく三島に到着。都合良く2本あとに東京行きがあったのでお菓子と紅茶を買って東京行きの東海道線に乗り込み、のんびりとおやつを食べながら帰った。三島から川崎までは2時間くらいかかり、思えば遠くへ来たもんだと思った。


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July 15, 2001

さがみ湖森林ボランティア3回目

はじめてわりと大きな木を切った。樹齢20年くらいの檜。病気の木ということで20年のわりにずいぶんと細い檜だったけど、切り口からはものすごく強いにおいがした。


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July 07, 2001

なぜか船釣り、しかし寝ていた。

 職場の人たちで船釣りに行くということで、誘われたものは一度は顔を出してみようということで参加してみた。が、釣りをしたのは約10分間くらい。あとは船酔いでずーと寝てた。


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